チバユウスケさんは1987年生まれで神奈川県藤沢市出身。高校時代から音楽活動に関心をもち、1988年に明治学院大学経済学部商学科に入学、大学内のバンドサークルに加入し、ロックバンド「THEE MICHELLE GUN ELEPHANT」を結成。このとき、長きにわたりバンドメイトとして運命をともにしてきたクハラカズユキとも出会ったという。同バンドではチバさんがボーカルを務めていた。

　その後もメンバーは入れ替わりながらも、卒業後も活動を続け、渋谷や下北沢のライブハウスで1991年以降本格的にバンド活動を開始。1996年には日本コロムビア内のレーベル『トライアド』からシングル『世界の終わり」でメジャーデビューを果たしている。

　その後、数々のシングルやアルバムを発表し続け、いくつかの作品がオリコンなどの音楽チャート上位を獲得していた。横浜アリーナでオール・スタンディング・ライブを実施し、観客動員数は1万5000人におよぶと言われるなどの人気を博し、イギリスやアメリカなど海外公演もおこなった。2002年には日本コロムビアからユニバーサルミュージックのレーベル「ユニバーサルシグマ」に移籍。

　しかし、2003年に突如としてバンドの解散を発表しファンを驚かせた。16thシングル『エレクトリック・サーカス』を発表し、幕張メッセでのライブを無事に終えると活動の幕を閉じた。

　ロックバンド「THEE MICHELLE GUN ELEPHANT」の活動においてチバさんはそのカリスマ性や強烈なしゃがれ声と同バンドの、60年代から70年代のパンクロックやパブロック、ガレージロックなどの影響を受けつつも先進的な独創的な音楽スタイルの重厚なサウンドが、多くの観客やファンを魅了したという。

　また、2003年6月27日には音楽番組『ミュージックステーション』（テレビ朝日系列）の生放送の最中に、ヨーロッパや日本を中心に独特なパフォーマンスで当時人気を誇ったロシア人2人組の女性デュオ「t.A.T.u.」が出演を拒否し、出番になっても登場しないという放送事故が発生。

　代打としてすでに演奏済みだった「THEE MICHELLE GUN ELEPHANT」が急遽、「ミッドナイト・クラクション・ベイビー」を演奏することとなり、急な無茶ぶりに応じた同バンドの演奏に司会者のタモリや共演者もノリノリで終了後は拍手喝采で、ドタキャンなど忘れてしまうほどの感動の嵐だったという。

　今回のチバユウスケさんの死の報道にふれ、この伝説的出来事についてSNSで言及する投稿が少なくなく、同バンドの人気ぶりを象徴している。

　2003年に同バンドが解散すると、2001年から当初は期間限定のバンドとして結成したロックバンド「ROSSO」で活動を再開する。しかし、2006年に同バンドは活動休止。元「THEE MICHELLE GUN ELEPHANT」メンバーのクハラカズユキらとロックバンド「The Birthday」を結成し、紆余曲折はありながらも音楽活動に励んだ。

　しかし、2009年には元「THEE MICHELLE GUN ELEPHANT」メンバーのアベフトシが42歳の若さで急性硬膜外血腫で急逝。かつての仲間の死に直面することになった。

　「The Birthday」としてはスラムダンクの映画「THE FIRST SLAMDUNK」のオープニング主題歌「LOVE ROCKETS」を担当するなどしていた。

　なお、チバさんは「THEE MICHELLE GUN ELEPHANT」解散後は、ROSSO、The Birthdayの他に、Midnight Bankrobbers、SNAKE ON THE BEACH、THE GOLDEN WET FINGERSなどでも活躍していた。

　今年4月には、医者から食道がんであると診断されたことを公表し、当分の間治療に専念するためチバさんは活動を休止することを表明していたが、11月26日に食道がんの治療中にこの世を去った。55歳だった。