3月22日、小林製薬の小林章浩社長らが記者会見を開き、同社の「紅麹《べにこうじ＞」の原料から製造された機能性表示食品の「紅麹コレステヘルプ」などの食品をめぐる健康被害があることを認め、同社の”紅麹”に関連する商品の自主回収を発表した。

　それから数日後、健康被害の実態が少しずつ明らかになりつつあり、現時点（3月27日時点）で同社の製品などを利用したことが原因とみられる腎疾患により106人が入院、2人が死亡する事案が報告され、日本国内外に衝撃を与えている。なお、具体的な腎疾患の症状は、体に水分がたまり”むくみ”の症状や、”尿が出ない”などの症状があるとされる。

　「紅麹」を原料とする機能性表示食品として、小林製薬は2021年に「紅麹コレステヘルプ」を発売。同製品は”悪玉コレステロールの値の低下」を謳っており、健康診断などで悪玉コレステロールの値が気になる人々の間で健康改善のためのサプリメントとして利用されてきた。そういった健康意識の高い人がかえって健康を害してしまうという事態に、利用者に怒りや不信感を募らせている。

　また、小林製薬は着色料や食品香料などの原料として「紅麹」を国内外の食品メーカーや飲料メーカーなどの52社に提供していたことが明らかになり、各社では自主回収や消費者からの電話対応などの対応を迫られ業界はパニック状態だ。現時点で小林製薬は供給先の企業を明らかにしておらず、今後、他の食品など関連する分野に大きな影響を与えそうだ。

　なお、「紅麹」自体には有害性はなく、一部の「紅麹」が生み出す人体に有害なカビ毒「シトリニン」を発生させることが知られているとされ、このカビ毒によって「腎疾患」などの症状が出る可能性があるとのことだ。ただ、この件ではまだシトリニンが検出されたとの報告はない。現時点で小林製薬以外の「紅麹」について健康被害は確認されておらず、他社の「紅麹」については今のところ安全と言え、冷静な対応が求められる。