故ジャニー喜多川氏の性加害問題について、遅ればせながら、ジャニーズ事務所側から調査結果が出された。これは元検事や精神科医などから成る外部の専門家による調査結果で、ジャニー喜多川氏（享年87）のジャニーズJr.などに対する性加害を認め、一連の問題について同氏の”性嗜好異常”によるものと断罪した。

　また、副社長を務め経営に大きな影響力を持っていたとされる、メリー喜多川氏が問題を放置・隠蔽した可能性が高いとし、職員も含めた事務所の不作為を問題視、同族（家族的・ファミリー）経営によるガバナンスの不全やコンプライアンス（法令遵守）意識や人権意識の欠如などを指摘し、ジャニーズ事務所のジュリー現社長にも今回の事案の責任があるとして辞任を求めるなど、ジャニーズ事務所の「解体的出直し」を求め、厳しい言葉が並んでいた。

　さらに、今回の報告書ではマスメディアの問題にも言及。”マスメディアの沈黙”について、2023年にBBCのジャニー氏の性加害問題の特番や被害者のジャニーズJr.が記者会見をおこなうまで「マスメディアが正面から取り上げてこなかった」と指摘。

　テレビ局などのマスメディア側として「ジャニーズ事務所のアイドルタレントを自社のテレビ番組に出演させたり、雑誌に掲載したりできなくなるのではないかという器具から…（中略）…報道するのを控えていた状況があった」と指摘し、マスメディアがこれまで報道しなかった結果、ジャニーズ事務所は問題を隠蔽し、ジャニー氏は性加害を継続することとなり、被害を拡大したと責任を認めた。

　これらの調査によって、これまでのジャニー喜多川氏のジャニーズ Jr.への性加害の実態やそれを隠蔽しようとしていたと疑われるようなジャニーズ事務所のある意味の黒歴史が白日の下にさらされてしまった。

　今回の調査はジャニーズ事務所が自ら依頼したもので、自らの首を自ら締めるような報告書が出てきたわけだが、素直に公表したことは一定評価できる点だ。

　なお報告書に関する会見と同時に、週刊文春がスクープとして、ジュリー社長の辞任を報じていたが（事実かどうかはまだ不明）、今後この報告書をジャニーズ事務所が認め、ジュリー社長が辞任するなど、報告書が求めた”解体的出直し”を実行するのか、その対応次第ではジャニーズ事務所への世間からのプレッシャー（圧力）は増々強まりそうだ。