7日の午後2時から始まった都内での故ジャニー喜多川氏による元ジャニーズJr.たちへの性加害問題に関する、ジャニーズ事務所の記者会見は4時間を超えるの長丁場になり、NHKから各民放テレビ局の、ほとんどのテレビ局（テレ東を除く）が通常の番組を特別編成に切り替える形で、「世紀の会見」を生中継した。

　記者会見の内容は、主に以下の4つのポイントで整理できる。まず、①事務所が初めて公式の場で、前社長のジャニー喜多川氏の性加害を認定し、謝罪した点だ。また、被害者との対話や賠償などの救済・補償を提供することを表明した。

　そして②・④人事面については、まず9月5日付けですでに藤島ジュリー景子社長（57）が引責辞任したことを発表、東山紀之（56）が後任の新社長に就任したことも併せて発表された。また、副社長の白波瀬傑副社長も引責辞任したという。なお、ジュリー氏は当面、代表取締役として被害者の補償などの職責を果たすため留まるという。今回社長に就任した東山は、被害者への補償や事務所の経営に専念するため、芸能界から引退するという。

　さらに③「ジャニーズ」の社名や屋号としての名称の使用については、現時点で変更することなどの考えはないとし、今後変更する可能性はありうると述べた。この点については、「ヒトラー株式会社」や「スターリン株式会社」（※ヒトラーはドイツの過去の独裁者で、ユダヤ人を強制収容所に入れ、ガス室などでの虐殺を指示するなどの悪名高い、スターリンは粛清と言う形で反対派や気に食わない人物など、多くの自国民を虐殺したとされるこちらも悪名高いソ連（ロシア）の独裁者だ。）と同じではないかなどと、犯罪者の名前を維持することへの激しい批判が寄せられた。

　⑤については①で認めたように、今回性加害に遭った元ジャニーズJr.らとジュリー前社長と東山社長が直接向き合って対話する用意があるといい、被害者らの希望に応じた金銭などでの賠償などの補償をおこなう予定だという。また「法を超えて救済補償」を実施するということで、捜査機関などの認定のいかんにかかわらず、積極的に救済する意向を示した。

　最後に、⑥として、8月29日のジャニーズ事務所が委託した、外部専門家による調査結果を受け入れる方針を示し、「解体的出直し」をおこなう意向を示した。また性加害問題が深刻化した背景に「同族経営」による弊害があったとの調査結果を認めた。ジュリー氏は現在ジャニーズ事務所の株式の100％を保有しているが、現時点では白紙としながら、今後何かしらの形で手放したり、比率を減らすなどして「同族経営」の見直しに着手する意向だという。

　今回の会見は4時間以上に及び、記者会見としては長い部類に入ると思われるが、基本的にこれらの事柄の繰り返しだった。東山新社長も認めていたが、まだ調査報告書の公表や社長就任から日がたっていないことなどから、まだあまり多くのことに着手できていない。正直、記者会見の内容はどれも今後の見通しや決意表明だけで、まだ実行に移されていないものがほとんどで、内容と内容はあまりなかった。性加害を認定し、公式に謝罪したことは大きな出来事とはいえるが、被害者への救済はまだ始まっていない。

　記者会見の内容を現実に実行できるか、東山紀之新社長の元、被害者への補償を被害者の気持ちに応える形で実行できるか、これまでの反省を踏まえ、「同族経営」の弊害を取り除き、組織の膿を出し切ることができるのか、会見で終了ではなくて、東山新社長の今後の「実行力」が問われている。