ryuchellさん死去で広がる悲しみの声、ネット・メディアで「新しい家族の形」や「性の多様性」ついて情報発信
タレントのryuchell(本名:比嘉龍二)さん(27)が7月12日に東京都渋谷区笹塚にある個人事務所として使っていたマンションの1室で意識不明で倒れているところを事務所の関係者が同日午後5時30分ごろに発見し、119番(救急)通報ののち救急隊員が駆け付けたが、まもなく死亡が確認された。
警視庁が現場の状況を検証したところ、死因は自殺である可能性が高いと判断した。警視庁は詳しい経緯などを調べることにしている。
このマンションに入っていた芸能事務所はryuchellさんや元妻pecoさんが所属する個人事務所で、ryuchellさんこと比嘉隆二さんが代表取締役を務めていた。事務所は渋谷区笹塚にあった。
ryuchellさんをめぐっては、2016年にタレントのpecoさんと結婚し、2018年に第1子の長男が生まれたが、昨年2022年8月に法的な夫婦関係を解消するため離婚し、pecoさんとは「人生のパートナー」として長男とpecoさんと同居を続けることを明らかにした。また、父親としての責任や事実婚ではなく「新たな家族のかたち」を模索したいなどとするメッセージを発信していた。
この離婚の背景には、ryuchellさんの「性自認」関することがあったとされ、離婚にあたってのインスタグラムでの文章では、自身の性自認に関してカミングアウトしていた。
その後は、ryuchellさんは女性として生きていくことを内外に発信し、スカートや女性的なファッションに身を包み、SNSでその姿を発信するなど、本来の自身の姿を発信する姿に生き生きとした様子がうかがえた。
だが、一方でryuchellさん自身がメディアなどで目立ちやすい存在であり、もともとアンチ(嫌いな人)が一定数いた。そうした中で、ryuchellさんの投稿に対して、「育児放棄だ」といった批判や心ない誹謗中傷が相次いでいた。そうした書き込みがryuchellさんを自殺に至らしめた大きな要因の1つであると考えられ、実際7月3日の朝の投稿で「耐えようっ」と意味深な投稿をおこなっていて、これは誹謗中傷に対する発言だと思われる。
ryuchellさんの今までの歩み・結婚・離婚、カミングアウトまで
ryuchell(りゅうちぇる)さんは、1995年に沖縄県宜野湾市で生まれだ。今年5月の配信では祖父がアメリカ人で会ったことも明かしていて、「外国人の血」が入っていると明かしている。
高校卒業後アパレル関係の仕事への就職を目指し東京へ上京し、その後は原宿にある古着店「SUPER WEGO」の店員として従事する傍ら、雑誌の読書モデルとして活躍した。バイト先のアパレル店で会った、「ぺこ」(現:peco)と2014年から交際を始めていた。
オネエらしさと男性的な面を併せ持ったいわゆる「ジェンダーレス男子」として注目されていた。2015年には日テレ系の『行列のできる法律相談所』にはpecoと出演し、一躍有名人になり、コンビ「ぺこ&りゅうちぇる」として、日テレに限らずバラエティ番組への出演が増加した。
2016年12月にはpeco・ryuchellの2人は結婚を表明し、翌年9月に結婚披露宴を開催した。芸能界からは祝福の声があふれ、その1年後の2018年7月の第1子の長男が誕生していた。
また、2018年からはRYUCHELL名義でアーティスト活動を行い、デビュー曲もリリースしている。2018年の10月には育児を頑張るパパタレントに贈られる『イクメン・オブ・ザ・イヤー2018「芸能部門」』を受賞し、父親としての姿を各メディアで取り上げられることもあった。
2021年9月には、それまで所属していた芸能事務所を退社し、10月に個人事務所、「比嘉企画」を設立し、ryuchellさんが代表取締役を務める一方で、妻のpecoさんは所属タレントとなった。そして同時に、それまでの「りゅうちぇる」と「ぺこ」のひらがな表記から英語表記の「peco」と「ryuchell」に芸名を変更したことを発表した。
しかし2022年8月にはpecoさんとの法的な婚姻関係を解消するため離婚することを発表し、その理由として「父親であることは心の底から誇りに思えるのに、自分で自分を縛り付けてしまったせいで、夫であることにつらさを感じてしまうようになった」と明らかにし、同時に自身の性自認についてカミングアウトした。「これからは“夫”と“妻”ではなく、人生のパートナー、そしてかけがえのない息子の親として、家族で人生を過ごしていこうね。という形になりました。もちろん、今まで通り家族で暮らします」と述べ、今後もpecoさんと長男の3人で同居し、「新しい家族のかたち」として事実婚としてではなく、新たな家族の有様を模索することを宣言していた。
結婚から子どもの誕生と世間では祝福の声が多かったが、急な離婚と「性自認のカミングアウト」で、以前から目立つ存在だったryuchellさんをこころよく思わないアンチ(反対派)から誹謗中傷を受けることが多くなってしまっていた。
誹謗中傷や、その立場ゆえの苦しみも
耐えようっ🥺❤️✨
— ryuchell 🐉💕 (@RYUZi33WORLD929) July 3, 2023
ryuchellさんは離婚と性自認のカミングアウト(告白)でよい意味でも悪い意味でも世間の注目を集めてしまった。メディアでは、「父親」であると同時に「女性」としての自分を表現する新たな時代を体現する家族観や主張が好意的に取り上げられ、インタビューや番組の出演が相次いでいた。実際、若い世代を中心に好意的に取り上げる声や、LGBTQ+(性的少数者)からは歓迎する声もあった。
だが、一方で世間的にLGBTQ+が認知され徐々に社会に受け入れられつつある中でも、こうした動きはまだここ最近の話で、ある程度の年齢以上にになると、同性愛を病気やタブー視する考え方も依然として根強く残っている。そういった背景もあってか、それに加え、LGBTQ+(性的少数派)の代表のようにメディアで取り上げられ目立っていた中で、多くのアンチがわき始めて2022年から誹謗中傷の集中砲火を受けるようになっていったという。
批判の内容としては一番多かったのは「育児放棄ではないか」という指摘で、他にも「pecoさんや長男がかわいそう」や「自分勝手だ」といった批判や中傷が相次いだ。
もちろん、こういった表現自体は一概に人格攻撃ではないのではないかという主張もありそうだが、それを読んでryuchellさんとして傷つくのは間違いないわけであり、公の機関や政治家へのものと違い、個人に対しての批判はよっぽど犯罪など客観的に悪いことでしかこうした批判は正当化されないのではないか。
もちろん、今回のryuchellさんが死を選んでしまった理由は実際のところ、まだ明らかではないし、断定することは困難だが、ryuchellさんが誹謗中傷を目にして傷ついていたことは事実のようだ。
今年2月の元妻pecoさんとryuchellさんが2人でそろって撮影し配信したYouTube動画の中で、誹謗中傷について語った。
(ryuchellさんは)「新しい家族の形をSNSで見せないといけなかったけれど、全然見せれていなかった。いろんなお声をいただいて、それが目を通すだけじゃなくて、心にも入って、入れてしまって…。親として強く発信していけばよかったんですけど、SNSに載せるということができなくなってしまった」と説明。pecoは一言ずつ、言葉を選びながら話すryuchellさんを気遣い「ガラスのハートです」と心配そうに話した。「家族をはじめ、感謝だなって思っている」とpecoの顔を見ながら語ったryuchellさんが涙する場面もあった。
引用元:https://mainichi.jp/articles/20230712/spp/000/006/111000c
涙を流す姿などは誹謗中傷に心を痛めてきたことを示唆していて、SNSなどの匿名の誹謗中傷の投稿がryuchellさんに届いていたのは事実のようだ。まだ、
ただ、一方で誹謗中傷はryuchellさんのその死の選択のきっかけとなったかもしれないが、ryuchellさん自身の生き方に対する悩みや家族への気持ちといった背景もあったことは間違いない。
ryuchellさんは「父親」としての立場、「女性」としての自分、「LGBTの当事者」としての立場、「芸能人」としての立場、さまざま立場、言うなれば「仮面」をかぶりすぎてしまったのかもしれない。
社会で多くの人々が理解しているように、私たち人間はいくつかの仮面を持っている。会社員であれば、「先輩」としての仮面、「後輩」としての仮面、「父親や母親」としての仮面、「消費者」としての仮面、挙げだせばきりがないが、人間は多かれ少なかれ2つ以上の仮面を使いこなすものだ。
そして私たちは、その「仮面」どうしのぶつかり合いや葛藤で思い悩むものである。思春期では、そうした仮面の中で自分のアイデンティティとは何かを思い悩み、なにかしら確立するものだ。
まだ27歳で、社会の荒波でもまれる機会が少なかったのかもしれない。そういった中で、たくさんの仮面を抱え、「自分とはいったいなんなのか」そういった悩みに苛まれ、SNS上の誹謗中傷はそういった心の傷をえぐられてきたのだと思う。
ryuchellさんと仕事をやってきたスタッフは「とても繊細なかただった」と証言している。
27歳の若さで亡くなったという書き方をされるが、20代でいきなり家族を背負い、性自認に関するカミングアウトを行い、そうした立場を背負うなど、あまりに多くのものを背負い、それに対して誹謗中傷を受け、心のキャパシティ(限度)を超えてしまったのではないだろうか。
著名人から惜しむ声や悲しみの声、ネット上では誹謗中傷への怒りの声も
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