日大が再び不祥事の渦中にあるようだ。警視庁は覚せい剤取締法違反などの疑いで3日の午後に東京都中野区にある日大アメフト部の学生寮に家宅捜索に入り、大麻の植物片や覚せい剤の錠剤などが発見された。

日大の内部調査でロッカーに大麻の植物片？

　今回の警察の家宅捜査の前に、大学の関係者のもとにアメフト部員による大麻の使用があった旨の報告が上がり、大学は独自に内部調査を実施。その過程で部員のロッカーから大麻とみられる植物片を発見し、警察に通報したという話がある。

　また、関東学生アメリカンフットボール連盟に7月中旬に大麻に関する内部告発の文書の送付があり、部員や監督・コーチへ聞き取りを実施し、連盟に報告したが、内容が不十分だったため再調査を連盟に命じられた直後だったという。

　前日の2日には、日大の林真理子理事長が午後に「報道されてますように違法な薬物が見つかったとかそういうことは一切ございません」と完全に否定していた。ところが、一転し、今日になると警察が家宅捜索に入り、騒動が表に出始めた。

日大HPで声明「ご迷惑をおかけし、お詫び申し上げます」

　日本大学は3日に声明を発表し、　「日本大学アメリカンフットボール部に関して様々な報道がなされておりますが，この件については，学生・生徒等，保護者，卒業生をはじめ，関係者の皆様に多大なご心配とご迷惑をお掛けしていることを心よりお詫び申し上げます」と謝罪。

　また、「関係者の皆様には一連の報道に心を痛めておられることと存じますが，本学では警察への協力とともに独自の調査を行うなど事実確認を進め，対応しているところです。
　特に，学生・生徒の皆さんには安心して充実した学生生活を送っていただけるよう，本学として鋭意努力してまいります」として、最終的に独自に調査をおこない、関係の学生の処罰などをおこなうとした。

　日本大学といえば、2018年にアメフト部が悪質な「タックル問題」を引き起こし、テレビや週刊誌などのマスメディアでは日大への厳しい声が相次いだ。その後も日大では田中英壽前理事長が脱税で逮捕されたり、元理事も日大の資金を自身の関与していた事業を通じ私物化するなどして背任罪で逮捕された。体制立て直しのため、新生日大のトップとして日大の芸術学部文芸学科の卒業生の作家・林真理子（69）が昨年（2022年）7月に理事長に就任していた。

林真理子理事長は日大を完全にコントロールできていない可能性　

　今回の林真理子理事長の行動には大きな違和感がある。大学の上層部は実際のところすでに7月中に調査をおこなっていて、7月22日には保護者に説明会をおこなっていたという。また7月ごろから部員も全体練習を控えていたという。日大の理事長はすでに知っていたはずだ。

　ところが完全に否定していた。これはおそらく最後までアメフト部の部員を信じたいという気持ちもあったと思うが、大学の上層部から理事長は詳細を知らされていなかったという可能性がある。

　以前から懸念されていたが、林理事長は日大を完全にコントロールできず、ある意味表の看板として日大に利用され、実権がないのではないかという疑いさえ出てくる。

（追記）3日の朝には林理事長はフジテレビなどの取材に応じ、7月に入ってから保護者からの手紙で知ったという。そして2日の発言は「『今のところは』見つかってないという意味」だったと釈明した。いずれにせよ、組織内でガバナンスが正常に機能しているのかやこれまでの不祥事で指摘されていたコンプライアンス（法令遵守）意識の問題が改めて指摘される事態になっている。